大谷八朔は独り言が大きい

読者は自分です

小説 映画

TUGUMI(作:吉本ばなな)人の中心にある優しさは見えないもの

病弱で村一番の美少女で、とびっきり意地悪なつぐみに振り回されるまりあの視点からつぐみを描いた小説。 つぐみの根源を上手に描いた作品。 それは2つの理由による。 ①つぐみの行動と性格は全て1つの背景に集約される。 ②「きちんとした大きさで物事を計…

3部作 悪童日記、ふたりの証拠、第三の嘘 作:アゴタ・クリストフ

心が震える作品。 ハンガリーから亡命した女性作者が己の過去の傷をえぐり、魂を絞って書き上げた、そんな作品。 舞台は占領されるハンガリーの片田舎。 親に残された二人の子供が意地悪ばあさんと生活をしている。 その文章の端的さ、描かれる主人公は自分…

シンパサイザー/The Stmpathizer(著:ヴィエト・タン・ウェン)

シンパサイザー/The Stmpathizer(著:ヴィエト・タン・ウェン) シンパサイザー、同調者。 北ヴェトナムのスパイとして南ヴェトナム政権に仕えるスパイが男を軸に物語は進む。 フランス宣教師とヴェトナム人のハーフとして生まれ、北ヴェトナムのスパイとして…

次に読む 悪童日記、ふたりの証拠、第三の嘘、そして シンパサイザー

最近共産主義時代の退廃的な雰囲気と、それが崩壊していく・崩壊した時代の比較を描く小説にはまってます。 悪童日記、ふたりの証拠、第三の嘘、はハンガリーからフランスに亡命した小説家アゴタ・クリストフの作品。独特の文体。 シンパサイザー 共産主義で…

冗談 ミラン・グンデラ

チェコ産まれの巨匠、ミラン・グランデが書いた共産党時代の閉塞感を描いた出世作、「冗談」。 「冗談」 それはルドヴィークがマルケータに宛てた手紙を発端にして起きた事変。 ルドヴィークはこう言った。 「楽観主義は人民の阿片だ!健全な精神など馬鹿臭…

レビュー 熔ける: 大王製紙前会長井川意高の懴悔録 (井川意高)

関連会社の金、106億円を個人的にギャンブルにつぎ込んで負けた男、 大王製紙前会長の井川意高氏が書いた懺悔録。 懺悔録と書いているが、井高氏は反省はしているが後悔もしておらず刑務所も従来の適応力でなるようになってしまった感が出ているため悲壮感は…

映画 西の魔女が死んだ (原作 梨木香歩)

「人は体と魂で構成されている。 死ぬということは、体から魂が出て自由になることだと思う。 お腹が空いて怒りっぽくなるのは魂が体の影響を受けているから。 だから死んだマイが、今のマイとは同じじゃないでしょうね」 西の魔女が言う。 マイは、「それな…